2014年08月18日
【WCS2014】国際シンポジウム開催

WCS2014「 国際シンポジウム」が、2014年8月2日(土)15時より、名古屋国際ホテルにて開催。今年のテーマは、「コスプレが産む国境を超えた繋がり: 趣味を通じたコミュニティ形成 」主催代表の小栗氏をはじめ、学術面とSNSからみたコスプレ交流活動について、発表がされました。

これまでのシンポジウムでは、ジェンダー論・海外のコスプレ人口や日本作品から与える文化論・著作権論などが、学術面を通じたコスプレ・作品文化論について、発表がなされる中、今年は、世界コスプレサミット学術委員会が、WCS諮問機関として設立、学術面からの活動の支援を担っています。
今年のテーマは、「コスプレが産む国境を超えた繋がり: 趣味を通じたコミュニティ形成」ネットでのコミュニティや活動・情報の交換について発表がなされました。会場は80席とこじんまりとした場所でしたが、立席観覧者を含め、来場者100名を超える盛況ぶり。会場に入れず諦めた方も居たとのお話。開催に先立ち、WCS実行委員会代表・小栗氏より、WCSの沿革について解説。2003年テレビ愛知による海外コスプレイヤーの活動実態を紹介したローカル番組に始まり、愛知万博を経て、現在12年目になるこの世界コスプレサミットは、今年で22ヶ国/地域の代表が参加。また、参加希望待機国が32ヶ国に上ることをあげ、世界からこのイベントが注目されているとの報告。また、今回設立された学術委員会や学生おもてなしボランティア委員会の活動についての紹介も。この後、日本国内でコスプレイヤー交流サイトとして人気のあるソーシャルネット「コスプレイヤーズアーカイブ」主催、吉田氏が登壇し、現在の登録者数や運用の実態について、発表がありました。
発表されたテーマは以下の通り
【コスプレサミットとは】
小栗 徳丸氏
(WCS実行委員会代表、和歌山大学 産学連携・研究支援センター客員教授)
【コスプレーヤーズアーカイブ】
吉田 創氏
(コスプレイヤーズアーカイブ代表、有限会社ふわり代表取締役)
コスプレイヤーに特化した、専門サイトSNS「コスプレイヤーズアーカイブ(以下Cアーカイブ)」の設立と形成、コミュニケーションと運用についての発表
・Cアーカイブの沿革(2006年7月に設立 初年度登録者数2362人/2013年登録利用者30万人突破)
現在 1億pv/月の閲覧を誇る人気サイトに成長。
-利用者の構成年齢と、男女比、レイヤーと非レイヤーの比率
コスプレイヤーの男女比では、女性9割/男性1割 年齢比では、20〜24歳が50%を占め、学生から、社会人として経済的にゆとりの出来た世代の利用者が多いとの利用者分析。
・サイト成長を支えた外的要因の分析
-同・具体的な戦略と要因
サイトを開設した当時は、FBはまだなく、コスプレ活動に特化したサイトも無かった。サイト登録には、顔写真を登録する必要があるが、誰でも閲覧できるオープンSNSに特化。また、コスプレ活動を通じて、活動している作品・キャラが検索しやすいようにデータベースを特化。
・同・具体的な取り組み
サイト運営者と、ユーザーの直接対話と対応。
・コミュニティーの規範意識を高める施策
トラブルについては、本人自身が対応。問題のあるサイト上での行動(他者へのいやがらせ、副アカウント作成等や成りすまし)について、ロック・警告を行い、二度目以降は、改めて、書面での本人確認と誓約書の提出 3度目以降は、利用不可と厳しい対応。
・今後の課題(ライト層の取込/国際化への対応)
若い世代の利用促進のため魅力あるサイト作りの取組み、また利用者の国際化を目指して、WCSとの連携にも取り組む。
【ソーシャルメディアにおける人々の繋がり】
田中 秀幸氏(学術委員、東京大学大学院情報学環 教授)
・ソーシャルメディアの2つの戦略
-デジタル戦略 (自治体や会社に多い)
売るための情報発信/企業と顧客の1対1の関係/顧客同士は繋がらない
-ソーシャル戦略
人と人とのつながりを重視する 情報の橋渡し。
・2つの社会関係資本(ソーシャル/キャピタル)
・日本国内の地域SNSの変移
2006年より統計を取り始めて、2010年にピーク(519サイト)、2014年現在(263サイト)減少傾向
・「ラディカルコネクティビティ」解説
-膨大なデータを地球上瞬時にどこにでも送ることのできる能力
【趣味を通じたコミュニティの規範形成コミュニティ内外の規範の相互作用】
岡田 昌浩氏(学術委員、広島大学大学院社会科学研究科 准教授)
・コミュナニティーと規範
-法とは別の、内部規律と心得の自然発生
-国家法/一般社会規範/コミュニティの様々な規範の区別と解説
・ハードローとソフトロー
国家法(刑法・民法等)と強制力を伴わない私的な取決めの違い
・コミュニティ規範(ソフトロー)はどう働くのか
-コミュナティ内部メンバー同士の、主観的利益・長期的利益・シグナリング
・同人コミュニティと著作権
-著作権の権利解説と二次創作の解釈
-現在(2014年)の著作権所持者の著作権行使の実情/現状
-同人コミュニティの原作者への配慮
-ハードローへのフィードバックや検討・許諾についての解説
・著作権とコスプレ衣装
コスプレ衣装が二次創作に当たるかどうか、私的なコスプレ活動の範囲
・公共の場でのコスプレ
-多くのコスプレイベント・コス可能な同人イベントで見るルール
-各イベントでのルール形成は、会場による要請/当時の一般社会規範か(?)
・イベントルールの変化の例(WCS)
-地域の協力の中で、会場外のコスプレ姿での移動や地域の意識変化
-コミュニティー規範の変化の可能性(?)
コスプレは、外でしないものという意識が、徐々に変化をもたらしている
・コミュニティーのグローバル化
-海外への規範の影響
【開催情報】
世界コスプレサミット2014 国際シンポジウム
日 時 : 2014年8月2日(土) 15:00〜16:30 (入場無料)
場 所 : 名古屋国際ホテル 2F ブランカパロマ(80席)
登壇者:
吉田 創氏(コスプレイヤーズアーカイブ代表、有限会社ふわり代表取締役)
田中 秀幸氏(学術委員、東京大学大学院情報学環 教授)
岡田 昌浩氏(学術委員、広島大学大学院社会科学研究科 准教授)
中村 仁氏(学術委員、日本経済大学経営学部 専任講師)
小栗 徳丸氏(WCS実行委員会代表、和歌山大学 産学連携・研究支援センター客員教授)
【関連情報】
・世界コスプレサミット公式ページ
・世界コスプレサミット学術委員会
同・Facebook
・コスプレイヤーズアーカイブ
【写真下】会場受付の学生ボランティアさんたちもコスプレ姿でお出迎え
会場では、参加者のコスプレ活動や意識を調査するアンケートが配布。同じものが会場内参加者にも配布され、今後の研究に反映されます。
